夏の恋は弾ける炭酸

「夏菜…待てよ!
違う、そうじゃない」


「じゃあ、何だって言いたいの?」

裕樹くんは私の腕を掴もうとしたが、その手を静かに下ろした。


「普通告白は、男からするもんだろ?」


「そんな決まりなんてないよ・・・」


「俺が射的でぬいぐるみを取ったら、俺と付き合ってください!」


「裕樹くん、はい!こちらこそよろしくね!
裕樹くん、頑張って」


私達は焼きそばを食べる為に、段差に座って割り箸を割った。


私は焼きそばを頬張るなり、横目で微笑ましそうに私を見つめる裕樹くんの姿に、思わず目移りする。



「食べる?」


「いいの?じゃ、早速
あーん」


裕樹くんは幼い子供のように、大きな口を開けた。


「はい!あーん」


何だか私達、本物のカップルみたい。
周りの人からにもそう見えているのかな・・・


初めて好きな人に"あーん"したかもしれない。



私は本当に幸福者だ。