夏の恋は弾ける炭酸

「夏菜…夏祭り誘わなくていいの?
今行けばまだ間に合うよ!多分今頃階段降りてると思うし…」


気を利かせて教室の外に出ていた由梨が、私の今にも泣きそうな姿に気付いたのか、慌てて走って私の元に向かってきた。



「もういいの
由梨ありがとう!やっばり私にはそんな勇気なんかなかった」


「でも夏菜、夏菜はよく頑張ったよ!
一緒に帰ろ?」


由梨は私を慰めるように、私を抱き締め頭をポンポンしてくれた。

まるで由梨は私のお母さんみたいに、母性本能をくすぐる。


由梨には本当に助けてもらってばっかりだなぁ~。



「うん!帰ろっ!」


涙を完全に晴らした私はカバンを持ち、由梨と一緒に生徒玄関を目指し歩いていた。



「夏菜って、結構ストレートに行動するタイプだと思っていたけど、やっぱりいざという時は乙女なんだねぇ~」


「私って、そんなにポジティブ?」


「うん!すごいポジティブかも?」


「そっかぁ~!」


そんな他愛ない会話をしていると、靴箱に着いてしまった。



私は靴箱に凭れている人に、思わず釘付けになる。


どうして?どうして和泉くんがいるの?


さっき帰ったんじゃないの………??