ああ、言語の壁って怖い。
ただでさえ口ベタなのに、それに加えて言葉が通じないだなんて。
どうしようもないではないか


「ナセトルカコネリ」


黄色髪の人が掌と、優しい笑顔をを私に向けて部屋を去って行った


あっ、きっと「ちょっと待っててくださいね」とか言っていたに違いない


去る黄色髪の人の背中を見ながら、私はわかったと示すように頷いた



暫く、といっても2、3分くらい経って黄色い髪の人が戻ってきた


手にはタオル、いや手拭いかな、を数枚抱えている

それを私に手渡してくれた


この手拭い、湿っている


この黄色い髪の人が私の泥だらけの足を指差していた


この手拭いで拭いても良いということかな


間違えていたら嫌だから、恐る恐る顔を伺いながら手拭いを受け取り、足を拭いていく

表情は、笑顔のままだ。
よかった、間違えてない

それにしても、拭いているところを見られるのは恥ずかしい、それにもし拭き方が下手くそで、ああすればいいのにとか、こうすればいいのにとか、思われていたらどうしよう
恥ずかしい

とんだ被害妄想だと良いのだが


足以外にもついていた泥汚れも拭き終えたのは良いのだが、この後どうすれば良いの?

こ の泥だらけになってしまった手拭いをそのまま返す?


それとも洗って返した方がいい?

洗うって何処で?

この部屋に水道らしきものはなかったし


色々考えて動きが鈍くなって行く私に、助け舟が出た


黄色い髪の人が手を出したのだ


仕方がない、今回はどうやって洗えば良いかわからないんだし、失礼ではあるがこのままお返ししようではないか


何故か心の中で偉そうになっていた私は、泥で汚れた部分が出ないように折り畳み、その手拭いを手渡した。
軽いお辞儀を添えて