ユメセカイ

長い間狸寝入りしていても、この2人は一向に立ち去る気配はない

誰もいなかったら、この豪勢な部屋を漁れたのに


きっと私が目覚めるまでここにいるのだろう


とりあえず体を起こしてみようか?
でももし起こしてもあの2人が何もしてこなかったら?

その後どうするの?
正直起きたままずっと固まっているよりも寝転んで固まっている方がいいに決まっている


もう色んな被害妄想で頭を悩ませていると、2人が近づいて来るのが見えたので、薄目を閉じた


起きてたのバレた?


「ミモザラットナコムエヒナ」

「モヨナヘコタスミモザラッ」


あれ、この2人の会話のなかのミモザラってライオンに食べられる前に、私が間違えて呼ばれていた、名前だよね


ここはあそことは別の世界じゃないの?だって死んだはずなんだから

もしかして、実は助けられていたとかなの?

相変わらず言葉がわからないから、情報が入りずらい

兎に角起きよう。
起きるなら今だ。

決意してから起きるまでやはり時間がかかったが、何とか起きた


2人の女性が、驚いたような嬉しそうな表情をした

「ミモザラッ、ホカテノメサナヨヘオナホ」

「ミモザラッケホテタマサチ」

あっ、反応してくれ た。良かった。
それにしてもやはりミモザラと呼んでくれているのはわかるが、他に何て言っているかはさっぱりだ


首を傾げて苦笑いして返してみた


すると2人とも怒ったように顔を赤くして後ろを向いてしまった


えええええ、何が、そんなに怒らせたの?

私の存在自体が怒られる対象?


もうテンパりすぎててうまく考えられなくなる

「ナホヤムヌカテノハ」

年配の方の人が若い人に話しかけて、若い人が慌てて部屋を出て行った


わわ、なんか威厳のあるお婆さんと2人きりになってしまった

気まずい…