ユメセカイ

奥の銅像の前まで来たところで、黄色い髪の人が止まった

さっきまでは遠くてよく見えなかった銅像の姿がよく見えた

胸の前に手を結んで目を瞑り、お祈りしている女性の上半身

すごく、綺麗な人だな

目は瞑っているが、大きいのがわかるし、鼻も程よく高くて整い、小さな口元は優しく微笑んでいた

思わず、見惚れてしまう程の美しさ


「テロル、ミモザラッ」

わっ、見とれすぎていたから、急に話かけられて驚いた

黄色い髪の人は、綺麗な女性の銅像を手で示していた

この銅像の女性がミモザラということかな

あれ?でもさっきは、この黄色い髪の人がミモザラと呼ばれていなかったっけ?

そこでやっと気づいた

先ほどまでまばらに座っていたはずの人達が、私達の周りに集まっていた

「ミモザラッ、コナラヘムヤ」

「ミモザラッサラナヤムヘコ」

「ミモザラッ、ナコヒルドヤカ」


この人達は、この黄色い髪の人にも、ましてや銅像に向かって言っていない

明らかに、

私の方を見て言っている?


何で、私がミモザラって呼ばれているの?


私の名前は小野信子
のはずだよね

訳がわからなくて辺りをキョロキョロと見回す


すると壁画が目に入ってきた


カラ フルな髪色をした多くの人がある一人を見上げてお祈りしている絵


そのある一人とは、銅像と同じ女性。


その女性の髪色は、






私と同じ、黒



でも、どう見ても顔は違うよ


なんてったって私の顔は、細い目に低い鼻、わかりやすく言えば
平安美人


美人は美人でも根本が違うっていうか、天と地程の差のある美人


髪色が同じというだけで間違える、かな?