違う
違うんだ
違うんだよ黒木さん
「そんな大きなものじゃないよ」
僕はおばあさんに話しかけた
あの日の経緯を伝えた
キミが先に話しかけていたから
話しかけられたことを
キミの姿に勇気をもらったことを
「あたしあの日から今日までずっと白羽くんのことが好きだったんだよ?」
「えっ……?」
「だけどずっと話しかける勇気がなくて…
保健室で初めて話した時は奇跡だと思った
その奇跡をあたしは無駄にしたくなくて
同じ班にならないかって誘ったの
白羽くんと一緒に色々な所へ行くのも夢だった」
同じだ…僕と
あの日キミに恋して
キミと話せた出来事を無駄にしたくなくて
今日行けるよう頑張った
僕は彼女と同じよう
始業式のあの日から
黒木さんが好きだと伝えた
黒木さんは綺麗な涙を流した
だけどその笑顔は
泣きたいぐらい美しかった


