ある時

奇跡が起きた




ドナーが現れたのだ

血液型も合っていて

病気持ちではない

彼の心臓とは正反対の

健康な心臓




彼はずっと待ち望んでいた手術をした

目を覚ますと

心臓の動いている音が聞こえた





「…生きてる
僕生きることが出来るんだ!」




彼が幸せに溢れている傍で

彼を幼い頃から診てきた医者は

顔をしかめていた




「ねぇおじちゃん
僕に心臓をくれた人はどんな人?」


「……え?」


「どんな人だったの?


その人のように生きたいなぁ」


「駄目だっ!」


「お、おじちゃん?」


「……悪かったな大声出して
何でもないんだ

だけど知っちゃいけない
キミがその心臓をくれた人のように
生きてもいけない

キミは真っ直ぐ生きるんだよ」





よくわからないけど

彼は元気いっぱいに頷いた