別れを告げられた事、彼の背中を追いかけなかった事、柚木君に助けられるまで涙すら出なかった事全て話していた。


話してるうちにどんどん涙が溢れて止まらなくなってしまった。

そんなあたしを優しく包み込むように柚木君は抱きしめてくれた。


これが信吾だったら良かったのに...そんな事も思ってしまった。


やっぱりあたしは信吾が大好きだった。


親に捨てられ施設で育ったあたしに信吾は色んな事を教えてくれた。

生きる意味も、勇気も楽しさも恋する辛さも。

何より、大好きな人の隣に居れた幸せな日々をあたしは忘れるなんて出来ない...。

過去にしたくない。

「うわわわあああん」

柚木君に抱きしめられながら、彼の腕の中であたしは泣き叫んだ。

「お前は頑張った...」

只々その言葉が今のあたしには優し過ぎる言葉だった。