メールだけじゃ伝わらないのならと、電話をかけた。

私の目は涙で周りがぼやけて見えた。

彼の口からは、怒りと呆れた様子で『別れよう』という言葉しか出てこなかった。

(私は、好きなのに)

そのことを言いたかった。

好きなら言えるはずなのに。

どうしてなんだろう。

「好き」って言えなかった。

なのに、別れたくないと思った。

すると、流れる涙が静かになった。

『わかった・・・ごめんなさい』

最後にそう言い、電話を切った。

そして、しばらく考えた。



(私、遠藤さんのこと・・・本当に好きじゃなかったんだ。だって・・・好きって言えなかったもんね)

私は、彼の温もりが好きだった。

寒い日に隣に寝ると、一気にあったかくなって幸せを感じた。

でも、私はもっとオープンに付き合いたかった。

誰にも言わないって約束を守れなくてごめんなさいと、自分のした行動を悔やんだ。

『次は、いい恋しろよ』

最後に言われた彼からの一言は、私の心に突き刺さった。

痛かった。

しばらく傷は癒えなかった。

時間の経過と共に、少しずつ完治していった。

強くならなくちゃね。

次の恋に向けて・・・



季節は春に近づいていた。