「うん…
えへへ、よかったぁ。
じゃ、俺も風呂入ろー」
拳で目尻を拭ったアオは、蕩けきった顔でヘラっと笑った。
もはやアホ面デスネ。
ソーデスネ。
ヘラヘラ笑いながら、肩にかけていたタオルを床に落としてドライヤーを置いた透子をベッドに座らせ、その細い手首とベッドヘッドのポールに手錠をかける。
そして、二人を繋ぐ足錠を外そうと、履いていたスウェットのポケットを探って…
「あ」
チャリ…
鍵を落としてしまった。
さらに、慌てて掴もうと伸ばした指先に当たった鍵は、透子が腰掛けるベッドの上に着地してしまった。
手錠の鍵と足錠の鍵。
その二つは今、細いリングをかけて一つにまとめてある。
つまり、透子を囚人たらしめる二つの枷を同時に解錠できる鍵束が今、彼女のすぐ傍に…
どうしよう、逃げてしまう。
いや、逃げられはしない。
彼女を取り押さえるコトなど容易い。
けれど…
自由を求めてもがく華奢な身体を、力づくで押さえ込んで?
放すまいと握りしめる小さな手から、自由への鍵を奪い取って?
彼女はどんな目で俺を見るだろう。
本当は、こんなコトしたいワケじゃないンだよ。
本当は、俺は…
腰を捻って身体を傾けた透子が、彼女の後方に落ちている鍵に手を伸ばす‥‥‥



