「…
なんで謝る」


「だって…
使い古したとかなんとか、慣れてるっぽいコト言ったから。
耳まで赤く…ってか、ドス黒くなるほど照れると思わなくて」


「~~~~~っっっ///
照れてなんかないンだからネ!?
その…こう…
ガって!ガって!
しーちゃんがブツかってきて、痛かっただけなンだからネっ///!!??」


「あぁ、ゴメン。
私、初めてだったから、加減がよくわからなくて」


「はっ//!? はじめっ//!?
はははじめじめじめじめ…」


「うん、ファーストキスだった」


「ふぁっ!?
ふぁふぁふぁふぁぁぁぁぁっっ///!!??
クァwセdrftgyフジコォォォォォ!!??」


「え?ちょっと?
アオ!?」


透子にはとても見せられない顔を両手で覆ったアオは、寝室どころかマンションの一室から飛び出した。

てか、逃げ出した。

これじゃもう、どっちがファーストキスなんだかわかンねーよ。

だが、鍵をシッカリかけたコトだけは評価しよう。

エレベーターがあるにも関わらず、階段を駆け下りて。
エントランスを駆け抜けて。
路上でマンションを見上げる、長い金髪を首の後ろで束ねたマッチョの横をすり抜けて‥‥‥

足を止め、アオが振り返った時にはもう、歩き出したマッチョの背中は遠かった。