「ね、ね、しーちゃん。
実はココに、こんなのもあるンだケド…
なんだかわかる?」


心底愛おしそうに目を細めたアオは、ジョガーパンツのポケットに忍ばせてあったモノを取り出した。

ソレは…二個目の手錠?

いや、違う。
手錠よりも輪が大きい。

長さは手錠と同じほどだが、一回り細くて軽そうなチェーンがついた、足錠…

って、さらに拘束を強化する気か、コラ。

不満も露わに眉を寄せる透子を軽々と横抱きにしたアオは、その小さな身体をベッドの中央に座らせた。

折れそうに細い彼女の右足首に恭しく錠をはめて、鎖で繋がったもう片方の錠を自らの左足首にはめて、再びポケットを漁って取り出した鍵で彼女の手首を解放すれば…


「答えは、俺としーちゃんを繋ぐ、運命の赤い糸でしたー」


ちょっと待て。
赤くねーし、糸でもねーよ。

それでも、透子の眉間の皺は解除され、表情がパっと明るくなる。


「ハンバーグ、作れる?」


「うん。
ベッドからは離れられるからネ。
俺からは離れられないケドネ」


あー、そーかよ。
この変態束縛ヤローが。

それでも、透子の白い頬には赤みが差し、唇が愛らしく綻ぶ。

ほんとに可愛いな、おい。

さっきまで能面みたいだったのに、素に戻ったらコレ?

本当の彼女は、顔面が正直な人らしい。