その嘘に踊れ




やっぱただのお子様デシタ。
オーダー品までお子様デシタ。


「了解。
急いで作るから、ちょっと待っててネ」


漏れそうになる安堵の溜め息を飲み下したアオは、ますます笑みを深くした。

すると、透子が目を丸くする。


「作る?アオが?
コンビニ弁当じゃなくて?」


当然だろ?

毎食、栄養バランスの取れた手作りメニューを提供する所存ですとも!
調理器具も食材も、既にスタンバってますとも!


「作るよ。
俺、誰かのために料理するの、初めてなンだ。
上手に出来たら褒めてよネ」


アオは得意げに拳で胸を叩いてみせた。

すると透子は軽く首を傾げ、『初めて…』と小さく呟いてから…


「私も『初めて』したい。
一緒に作るから、褒めて」


力強く宣言すると、ピョコンとベッドから飛び降りた。

けどね、残念。

ジャラっと鳴った金属音が、現状を思い出させる。

透子は、手首にはめられた枷を見て。
ソコから伸びる鎖を見て。
その先端が固定された、ベッドヘッドのポールを見て…

最後に、下唇を突き出して、恨めしそうにアオを睨んだ。

可愛いな、おい。