その嘘に踊れ


「やっぱりアオくんは優しいのよ!
優しい上に、ニートでストーカーの二重苦中年を更生しちゃえるほど有能なのよ!
さすがはシズクが見込んだ」


「認 め ん !!」


さっきも聞いたセリフを再び大声で叫んでデイジーの言葉を遮ったオタは、荒々しい動作で立ち上がった。

まぁヒョロい体型だから、荒々しいっつっても限度があるワケだが。

それでも精一杯の迫力を掻き集め、オタはアオの細い鼻先に人差し指を突きつける。


「僕は認めないからな!!
リア充死すべしィィィィィ!!」


なんか涙目になって。
なんか震える声で悪態ついて。

なんか…
バタバタとデイジーの部屋から出てっちゃったよ、オタくん。


「…
ナニアレ?」


バタンと派手な音を立てて閉まった玄関ドアを見つめて、アオは目を瞬かせた。

『死ね』やら『爆ぜろ』やら『もげろ』やら…

清々しいほどの俺ヘイトに、もはや怒りも湧いてこない。

むしろ不思議。

俺、アイツになんかしたっけ?

てかアイツ、俺のリアルが全く充実してなかったって、知ってンだよな?


「もぉー… オタったらぁ…
ごめんねェ、アオくん。
悪気はない…こともないケド、許してやってよ、ね?」


ふぅ、と大袈裟に息をついたデイジーが、芝居じみた仕草で首を左右に振った。