その嘘に踊れ


ボンヤリしていたとは言え、全く監視に気づけなかった。

無防備になっていたとは言え、簡単に捕獲されそうになった。

そして、『ひでぶ』ってたとは言え、簡単に背後を取られてしまった…

この私相手に、ココまでする!?

アオってば何者!?

いったいどんな風に成長しちゃったの!?

この程度の麻酔薬で私の動きは止められない。
覚醒した今、再び逃げるコトも反撃するコトも容易い。

だけど…

私は目を閉じ、アオの広い胸に身を預けた。

興味が湧いたからだ。

恋した男が何者で、なんの目的で私を眠らせ、これからどうするつもりなのか。

『アナタについてく♪』
なんて、スイーツ(笑)脳が働いたからじゃないンだからね!?

そんなんじゃないンだからね!?

壊れモノを扱うように優しく抱かれ、バンの後部座席に寝かされる。

薄く目を開けると、スマホのバッテリーを抜くアオの端正な横顔が見える。

あぁ、イケメン…

じゃない。

あのスマホ、オタに貰ったヤツじゃん。

ついてるのは、オカーサンも安心お子様見守りGPSアプリだけじゃないンだケド。

抜かれると同時に充電が切れるまで位置情報を緊急発信し続ける機能が、バッテリー自体に仕込まれてンだケド。

んー…
ま、いっか。

どんなコトが起きようが、誰が入り乱れようが、どうとでもできる。

私にはその力がある。