その嘘に踊れ


なんて、感傷に浸りながらボンヤリと数日間を過ごしていたら、だ!

胸の痛みに気を取られ、いつもより無防備になっていたら、だ!

学校帰りィィ!
突然腕を引かれェェ!
塀に背を押しつけられたと思ったらァァァ!

目の前に、優しく微笑むアーオーがァァァ!!??

なんだコレ!?
どーなってンだ!?

いや、知ってるよ!
壁ドンだよ、コレ!

だが、私が読んだ少女漫画には、致命的な誤りがあったようだ。

コレは『胸キュン』なんてスイーツ(笑)な代物ではない。

『心臓ギュン』だ。
むしろ『心臓ひでぶ』だ。

証拠を残さずターゲットの心臓を破裂させる、殺しの手口に違ェねーよ。

だから腹パンは正当防衛。

トドメと言わんばかりのイケボ攻撃を食らいながらも、私はアオを突き飛ばして逃げ出した。

逃げ出しても、『ひでぶ』は治まらない。

振り向いて、アオが追ってこないのを確認しても、まだ『ひでぶ』は治まらない。

リアルに生命の危機じゃん!?

念のため、早急に『ひでぶ』対処法をググっておくべきかも知れない。

走りながらスクールバッグを漁り、スマホを取り出した時…

その手を掴まれた。

首に注射針を突き刺された。

静脈に流れ込むチオペンタールの冷たい感触で『ひでぶ』は治まり、本来の私が目を覚ます。

この場、この時、この状況。

私は狙われ、おそらく監視されていたのだ。

愛しい愛しい、青い目の悪魔に…