その嘘に踊れ


なーんて安心しきっていたのだ が!

試練がやってきた。

『芦原透子』の父親の代理人だという男がやってきた。

そんなバカな!?

母子家庭じゃなかったのかよ!?
親父がいたのかよ!?

しかも黒木昭彦とか、結構な大物じゃねーかよ!?

あぁ…
なりすまし計画終了のお知らせ…

と思ったが、違った。

やってきたのは、試練ではなく幸運だった。

男は言った。

『あなたのお父様が、あなたが独立するまでの間の金銭援助を申し出ておられます』

『条件は、お父様が指定されたマンションに移転し、お父様が指定された学校に転校するコト。

必要以上に親密な人間関係は築かず、節度ある静かな生活を送るコト。

お父様のお名前を、絶対に、誰にも、漏らさないコト』

『尚、お父様はあなたと、今後一切交流を持つおつもりはございません。

ご用の際は私にご連絡下さい』



ほら!なんという幸運!

合法的に衣食住は確保された!

普通の子供として、学校にまで通える!

おまけに完全不干渉!

まじ幸運、キタコレ!!!

当たり前の親子関係を考えれば、怒りがこみあげてくるほど冷酷で薄情な条件だろうが、私にとってはまさに神からの贈り物。

私はちょっと寂しそうな顔をして、でも内心ウハウハで、神妙に申し出を受けた。