「私はシズク。
もう『r09u-E』じゃない。」
地に這いつくばる青年の背に向けて、私は非情に言い放った。
「貴様はどうだ?
人形か?それとも人間か?
人形だというのなら、今すぐ私が壊してやる。
人間だというのなら、支配に抗え。
自由を求めて足掻いてみせろ」
それはどちらを選択しても、事実上の死刑宣告。
彼には、組織に刃向かえる力なんてないのだから。
『Unnamed Children』である青年にとっては、想像を絶する冷酷な言葉だっただろう。
でも。
それでも。
心のない人形として叩き壊されるコト。
人間として偽らぬ心を貫いて散るコト。
やっと人間になったばかりの私よりも元々は人間だった彼のほうが、どちらが自由か知っているはずだ。
私は彼を殺さなかった。
自らの意志で。
私が拘束を解いても、彼は私を殺そうとしなかった。
何も言わず、俯いたまま、フラフラと私の前から去った。
自らの意志で。
その後…
黒髪の少年が廃墟を爆破しに来た。
取っ捕まえ、同じコトを言い渡した。
のっぺりした顔の女が毒を盛りに来た。
取っ捕まえ、同じコトを言い渡した。
幾人の『Unnamed Children』が私を殺しにやってきて、その度に私は同じコトを言い渡して、その度に彼らはおぼつかない足取りでフラフラと帰っていった。



