その嘘に踊れ


「そろそろ戻らなきゃ」


窓から空を見上げ、私は言った。

すると、途端にアオは表情を変えた。

夢から覚めたように。
言い様もないほど虚ろに。

ごめんね?

でも私が戻らなければ、組織の奴らが捜しにやってくる。

一緒にいる姿を目撃されれば、アオは殺されてしまう。

ごめんね?
でも、大丈夫だから。

アオなら、きっとすぐにいい友達ができて、ボッチじゃなくなるよ。

だって優しいもの。

私が生まれて初めて出逢った、優しい優しい人間だもの。

雨に洗い流されて澄み渡った青空の下。


「ありがと、アオ」


と手を振って、私はアオに背を向けた。


「ありがと、シズク」


と手を振って、アオは私を見送った。

いつまでも。
いつまでも。

アオの視線を感じていた。

胸がギシギシと軋み、うまく呼吸ができない。
振り返りたい衝動が抑えきれない。

きっとこれが、別離の悲しみというものなのだろう。

ありがと、アオ。
さよなら、アオ。

あなたに人としての命を貰った私は…

私のすべきことを、しよう。