その嘘に踊れ


「なにして、遊ぶの?」


「え?えと…えと、ね…」


アオの問い掛けに、私は口ごもった。

言い出しといてナンだケド、私は遊びなんて知らない。

遊び、遊び、遊び…

あ。
そー言えば、いつもケージの中から壁のヒビ割れ箇所を数えて、暇つぶししてたっけ。


「ドアノブの数を数えるの!」




ヒビ割れよりはマシかと思ったンだケド…

変な顔されてる。
ソレ、楽しいの?って顔されてる。

でも、構うもんか。

最上階に置きっパのライフル。
ソレで撃ち殺すべきターゲット。

全てをまるっと放置して、私は生まれて初めて私に向かって差し出された手を握った。

あたたかく大きい、アオの手をキュっと握りしめた。

『ドアが壊れてドア枠から外れていても、ドア板にくっついてるドアノブはまだドアノブだから、一つ』とか。

『ドア板自体がブっ壊れていてドアノブが落ちていれば、もうドアノブじゃなくただのノブだから、ノーカン』とか。

『ドアノブ探し』からの、『筆記用具探し』とか…

アオと一緒に私は遊ぶ。

生まれて初めて私は遊ぶ。

生まれて初めて足音を立てて走って。
生まれて初めて悲鳴を上げて。

生まれて初めて笑って、笑って、笑って…

気づけば雨はやんでいた。