その嘘に踊れ


なのに少年は…


「…
雨宿り、してるの?」


ウザいはずのチビっコに、たどたどしい日本語で返事をくれた。

なんでアジアの小さな島国でしか使われない言語なんて知ってンだ、コイツ。

この国に進出した日本企業の、現地従業員の身内か?

韓国語にしておくべきだったかと後悔したが、今更設定の変更はできない。


「うん、お母さんとはぐれちゃってね?
捜そうと思ったら、雨が降ってきてね?
雨宿りしようとココに入ったら、楽しそうだったからね?
探検してたの」


コレでどうだ?

一緒にお母さんを捜して、とか。
一緒に探検しよう、とか。

ウザい展開が予想されるワードが満載だろう、そうだろう。

とっとと帰れ。
わりと切実に。

なのに少年は帰ってくれない。

帰ってくれないどころか、穴があくほど私を見つめたまま、動こうともしやがりマセンYO!

さっきのセリフ、長すぎた?
日本語初心者には難解だった?

よし、わかった。

簡潔にいこう。

子供らしく、遠慮なく、少年のパーソナルスペースにズカズカと踏み込み。

子供らしく、遠慮なく、近距離且つ真正面からマジマジと少年を見上げ。

挑むように言い放つ。


「一緒に遊ぶ?」