鳴り止まない音楽。
鳴り止まない銃声。

そのハーモニーを奏でているのは、いったい誰?

壁や天井。
積み上げられたガラクタ。
そして、逃げ惑うアイツらに容赦なく降り注ぐ殺戮の雨。

無差別に見えるその銃撃は、なぜかアオにだけは当たらなかった。

巧妙に、的確に、アオだけを避けていた。

ソレって、つまり…


(俺を守った『誰か』が…いる?)


アオは恐れ気もなく背筋を伸ばし、惨劇の場を見渡した。

どうやらこの雨の発射元である数丁のマシンガンは、ガラクタの山に埋もれているようだ。

そこに人が潜めるようなスペースがあるとは思えないから、おそらくこの射撃は遠隔操作。

だけど… 近くにいるンだろう?

未だ姿を見せない『誰か』を捜してアチコチ彷徨うアオの視線の先に。

いや、視界の隅っこに。

一瞬映り込んだ、M24。

雨を逃れて身を隠した戦闘員の一人が、とにかく目に見える敵から始末しようと、アオに銃口を向けていた。

本来なら、ココで死亡エンド。

だが、アオ目掛けて放たれた弾丸を、降り注ぐ雨とは違う軌道で飛来した一発の弾丸が正確に撃ち落とした。

ハイ、絶対いる。

弾を弾で落とすとか、どんな変態技デスカ。

でも、おかげで見つけたよ。

そんなトコロに隠れていたの。

『そんなトコロ』を見上げたアオは、躊躇うことなくガラクタの山を登り始めた。