その嘘に踊れ


「おいおい…
冗談だろ…?」


怒ればいいのか。
それとも、まだ余裕で笑っていればいいのか。

その狭間で迷う微妙な表情で、苦しげにアイツは言った。

冗談に見えるかい?

数多く向けられた拳銃、マシンガン、ライフルに対し、デリンシャーの装填数はたったの2発だもんね。

とても形勢逆転とは言えない。

だが、充分だ。

そもそも、俺が寝返ったとアイツらが勘違いしている、ありもしない別の組織対策としてスタンバっていた重装備軍団と真っ向勝負する気も、生きて逃げ延びる気もないのだから。


「クライアントが来るまで、このまま大人しく待っていろ」


氷のように冷たい瞳で、氷のように冷たい声で、アオは短く吐き捨てた。

幼い頃に連れ去られ、従順を強いられ続けたマリオネット『Sy-u800』はもういない。

彼は人間。

彼はアオ。

飼い犬に手を…いや、首に牙を突き立てられていることを実感したアイツが、眉を険しく吊り上げた。


「下手に出てりゃ、つけあがりやがって!
この薄汚ぇガキが!」


へー…
下手に出てるつもりだったの、あの笑顔。

ただただキモいだけでしたケドー


「クライアントが来たところで、状況は変わらねェ!!
周りを見てみろ!
おまえに逃げ場なんてねェゾ!
ブっ殺してやる!すぐにブっ殺してやる!!」