その嘘に踊れ


(世の中、嘘つきばっかりか!?)


自分のことはまるっと棚に上げ、アオは目を大きく見開いた。

無表情を崩したコトに気を良くしたのか、アイツがキモい笑みを深くして近づいてくる。

一歩。


「『Sy-u800』、おまえ…
やけにターゲットに拘ってるよな?」


また一歩。


「どこにでもいる平凡な女に見えるが…
もしかして、おまえを誑かしてる組織のウィークポイントだったりするのか?
だから守れと命じられたのか?
言え… いや、教えてくれよ。
悪いようにはしないから」


知るかよ。

てか、んなワケあるかよ。

その証拠に、『芦原透子捕獲』という罠に引っ掛かったネズミは、100%私情で彼女を守りたい俺だけじゃねーかよ。

一連の展開に絶望もしたし、動揺もしたし、かーなり驚きもしたけれど、結果オーライ。

シズクがココにいないなら、予定通りコトを進めればイイ。

アオは迫ってくる厚い肩を素早く掴み、高級スーツに包まれた身体を半回転させ、頭一つ分背が低いアイツの首に背後から片腕を回した。

え…

ココでなろ抱き再び!?
まさかのスイーツ(笑)!?

いいえ、違いマスぅ。

コレは裸絞め。
ただし絶妙に力を加減した、絞められた相手が失神しない程度の。

さらにアオはカットソーの袖に仕込んでおいたハイスタンダードデリンシャーDM101を滑らせてそのまま手の中に収め、アイツの側頭部に突きつけた。