キモイ愛想笑い。
猫撫で声。
そして、巨大な釣り針。
アイツらは焦っているのだ。
元特殊部隊員をいとも簡単に始末できる凄腕を擁する正体不明の組織が、子飼いの『Unnamed Children』を次々と引き抜き、最終的には自分たちに牙を剥くのではないかと恐れているのだ。
なら…
こんなんはどーでしょう?
「『芦原透子』を解放しろ。
話はそれからだ」
期待と不安をポーカーフェイスの内に隠し、アオは淡々と条件を出した。
『おまえを自由にしてやってもいい』
コレは完全に甘言だ。
ナニを喋ろうが、ナニを喋るまいが、最終的に俺は殺される。
だが、シズクなら?
今のアイツらなら、依頼よりも自らの保身に傾くのではないか?
てか、傾いて。
シズクを解放して。
そしたら、なんでも喋るから。
実際ナニも知らないワケだから、アイツらの望む答えは出せないケド。
それでも、なんでも喋るからぁぁぁぁぁ!?
だが…
「あぁ、ターゲットを捕らえたって話な。
悪いが、アレは嘘だ」
愛想笑いに隠しきれない蔑みを織り交ぜて、アイツは言った。
「そう言い回れば、様子を窺っているネズミが引っ掛かるかと思ってな。
しかし、おまえでよかったよ。
知らない奴じゃ、詳しい話も聞けないしな?」



