カチっと微かな音がして、倉庫内に明かりが点いた。

工事現場で見掛ける大型ライトでも持ち込んであったのか、同時に屋外にも真昼のような光が満ち、ガラクタの山を煌々と照らし出す。

こりゃ詰んだ。

為すすべもなく姿を晒したまま、アオは立ち尽くした。


「銃を置け」


と、背後から嫌というほど聞き慣れた低い声。

溜め息を飲み込みながら振り返れば、嫌というほど見慣れた、フルオーダーのスーツを着た恰幅の良い男。

アイツだ。

いつも、そして今回も、アオに命令を下したアイツらの一人だ。


「銃を置け、『Sy-u800』。
抵抗しても無駄だ」


再び口を開いたアイツが軽く片手をあげると…

ガラクタに身を伏せていたらしい大勢の男たちが一斉に立ち上がり、アオに銃口を向けた。



あれ?

ナニコレ?

銃はともかく、MP5やM24…つまり、サブマシンガンやライフルを構えてるヤツまでいるよ?

たかが『Unnamed Children』一人相手に、なんでソコまで重装備なの。

でもって、シズクの身柄を確保すれば俺はもう用ナシのはずなのに、なんでスーパー蜂の巣タイムが始まらないの。

ナニかがおかしい。

詰んだと考えるのは、まだ早計か…

アオは黙ったまま腰を屈めて足元にベレッタを置き、アイツに向かって蹴り出した。