その嘘に踊れ


首謀者である自分はともかく、仲間を勝ち目のない戦いには巻き込めない。

じゃあ、じゃあ、じゃあ、いったいどうやって…

考えている間にも時は過ぎる。

日々、望まない任務を下される。

そして生き残る度に、任務の難易度は上がっていく。

ただブっ放すだけでなく、潜入、誘導、脅迫などあらゆる手段を用いて多くの人を死に追いやった。

ただ盗むだけでなく、女どころか時には男にまで取り入り、籠絡し、多くの情報を掠め奪った。

ほんの少しだけ、持たされる武器が強力になり。
ほんの少しだけ、プライベートな時間と空間を与えられ。

ほんの少しだけ、自由になれた気がしたが…

所詮それも、成長して利用価値が増した『Unnamed Children』への懐柔策。

アイツらの掌で転がされる駒であることに変わりはない。

せめて手の届く悲劇だけでも回避しようと、窮地に陥った仲間を救ってみたりもしたが…

そんなのはただの自己満足。
なんの贖罪にもならない。

アイツらから逃れて真の自由を得るためには、もう死を選ぶしかないのだろうか。

人であるために、死ぬしかないのだろうか。

いや、そもそも罪を犯しすぎた俺が、人として生きたいと願うことなどおこがましかったのか…

再び心が麻痺してゆき。
再び世界から色が消えてゆき。

鈍い諦めが胸を占めはじめた頃…

堕ちていく俺を叱咤するかのように、またも天使は現れた。

以前のように偶然ではなく。

俺の次の任務の、暗殺対象となって現れた。