その嘘に踊れ


雨に洗い流されて澄み渡った青空の下。


「ありがと、アオ」


と手を振って、シズクは去っていった。


「ありがと、シズク」


と手を振って、俺はシズクを見送った。

いつまでも。
いつまでも。

見送った。

俺にだけ見える白い羽を生やしたシズクの背中が、小さくなって消えるまで。

ありがと、シズク。

成長すれば、君は俺を忘れるだろう。

たくさんの人と交わり、たくさんの笑顔に囲まれ、異国でほんの一時触れ合った『アオ』のことなんて、きっと忘れてしまうだろう。

でも、構わない。

俺は忘れない。

ありがと、シズク。

俺に名前をくれた天使。
俺を人にしてくれた天使。

俺は君を忘れずに、君がくれた名前を忘れずに、どんな世界でだって人として生きていくよ。

あー…

コッチは完全に忘れてたケド。

そー言えばさ、例の表敬訪問の要人は、殺されなかったみたいだよー。

あのスコールで、暗殺が中止になったのかも知れないネー。
てかガセネタに踊らされてただけで、そもそも暗殺計画なんてなかったのかも知れないネー。

他人事みたい、って?

うん、ほんとソレ。

その日から俺は、どうやってアイツらから逃げるかってコトで頭がいっぱいだったンだ。