その嘘に踊れ









「え…
なん…て…」


俺は嗄れた声をなんとか喉から絞り出し、天使に聞き返した。

時が逆流する。
地が裂け、天が落ちてくる。

だが、ソコはさすが天使。


「『アオ』。
お兄ちゃんのお名前。
目が青いから」


天変地異など気にも留めず、事も無げに答えちゃう。

その瞬間、天使の息吹で糸を断ち切られたマリオネットは崩れ落ちた。

そして再び立ち上がる。

俺は『アオ』。
人間だ。

モノクロだった世界には色が溢れ、その鮮やかさに息を飲む。

彼女の、白いワンピース。
彼女の、真珠色の肌。
彼女の、薄桃の唇。
彼女の、濡れ羽色の髪。

そして、透き通る黒水晶の瞳。

その全てが、光に覆われて…


「じゃあ…君は…
『シズク』」


人としての命を得た俺の最初の言葉は、無意識のモノだったと思う。

だって、見たまんまだし。

目が青いから『アオ』ってのと同レベルで、ヒネリがないし。