なるほど。
賢明だ。
嘘つきの言葉などアテにせず、まずこの誘拐が事件になっているかどうかを確認するワケか。
だが果たして、こんなにわかりやすい手が通用するのだろうか?
「ダメだ!」
あー…やっぱ案の定拒否…
「メディアに騙されるな!
いつだってこの社会は、俺たちを洗脳しようとしているンだ!」
「…
虚言、妄想、荒唐無稽な社会批判…
かなり拗らせてますね」
先程にもまして熱弁を振るう残念イケメンから目を逸らし、透子は深い溜め息を吐いた。
別の意味で通用しなかったネ。
あからさまな落胆とは言え、初めて感情を露わにした透子を目にして、アオのセクシーな唇が嬉しそうに綻ぶ。
「やだな、虚言だなんて。
しーちゃんはロマンがないなァ。
どーしてそんな風に、頭っから疑うの?」
アオは喜びを隠そうともせずニコニコと笑いながら、透子の隣に腰を下ろした。
縮まる距離。
けれど、さりげなく腰をずらした透子が、アオとの間に嫌味にならない程度の絶妙な空間を作り出す。
再び遠ざかる距離。
「疑う根拠はあります」
冷静な口調に戻った透子が、短く、けれどキッパリと告げた。
君ら、温度差激しすぎ。



