その嘘に踊れ


二人の会話が聞こえるように、アオはデイジーが握るスマホに耳を寄せた。


『…なんですか』


「ピンチなの!
銃撃されちゃったの!
○○駅まで迎えに来て!」


『…街中でサバゲー?
剛毅でござるな』


ぅわぁ…
受話器越しなのに、オタク臭が漏れてる…


「違うのよぉぉぉぉぉ!?
いいからすぐ来て!
暇でショ?マンションにいるンでショ!?」


『…いませんよ。
今日は友人宅で同人誌制作アシとしてスクリーントーンを貼っていて、多忙です…』


「エロ同人なんて、どーでもイイでショ!?
アタシのほうが大事でショ!?
今すぐ来て!!」


『えー…
でも僕、車とか持ってないし…
ソコから普通に電車に乗っても同じ』


「何人か友達が集まってるンでショ!?
誰か一人くらい車持ってンでショ!?
借りて、今すぐ来て!!」


『えー…』


「…
今すぐ来いっつってンだろぉがぁぁぁぁぁ…」


突然、太く低く男らしい声でデイジーが唸って…

アオはビクっと身を竦めた。

受話器からは『ヒっ』っと悲鳴が聞こえた。

コレはコワい。