だが、耳寄りな情報もあった。


「いつ?ドコで?」


貸玉機にカードを差し込んだアオは、アイツらとクライアントが接触する『申し開き』が行われる場所と日時を、努めてさりげなく訊ねた。


「隣県の山にある、倒産した産廃業者が所有していた建物に、今夜11時。
…聞いて、どうする?」


「俺も行く。
仕事をしなかったのには、訳がある。
おそらくアイツらも知らない事情を、ターゲットから聞き出した」


「…無理だ」


「聞け。
その事情をクライアントに突きつければ、報酬は格段に跳ね上がるはずだ。
アイツらにとっても悪い話じゃ」


「無理なンだ。
もう…手遅れなンだよ。
アイツらは…おまえが『ならず者の夢』を再現するつもりだと断定した」


「…


ハイ?」


アオはポカンと口を開けてマヌケ面を晒した。

ちょっと素が出ちゃった?
それでもビジネスマンに視線を送らなかったのは、サスガと言うべきか。


「『ならず者の夢』って、アレ?
俺らみたいのが、ある日突然団結して立ち上がって、アイツらみたいのから自由を勝ち取ったっていう、アレ?
都市伝説じゃねェか。
てか、文字通り夢物語じゃねェかよ」


そう話しているうちに、アオの唇には徐々に嘲笑が浮かんでいった。