すらっとした影と濡れ羽の髪が視界に揺れた。 思わず私は息を呑む。 ―だって、たった今、会いたいと願った人が来たから。 一歩一歩歩きながら 形のいい唇が、切なげな言葉を紡ぐ。 「例えば、キミなら。 本当に、守りたいと想われただけで幸せだと思えるか?」 真剣な声色が近づいてくる。 私は………… わたしは………………