「俺には守りたい奴がいた… いや、守らなければいけない奴がいた。 自分の生命にかえたって、守りたかった。 誰よりも、一番そばで守りたかった。 でも………」 そう言って彼は顔を上げる。 濡れ羽色の髪がふわりとなびいた。 「俺は……… 一番、守るべきときに守れなかったんだ…。」 彼の隠れた瞳が、 私には泣いているように見えた。