「芹沢ちゃん……」








その日の夜、部屋に戻ったはずのリリーちゃんが私の部屋のドアを叩いた。







妙にしおらしい口調に心配してドアを開けると




真っ赤な顔のリリーちゃんがいた。





「え…っ!ちょ、どうしたの?!風邪?」






慌てる私に



「違う!風邪はひいてない!」


と、冷えピタを取り出しかけた私の手を制した。


「じゃあ、どうしたの?」















「いっちゃんが………」


「いっちゃん先輩が………?」


「『おやすみ、莉衣ちゃん。』って………。」


「…………はい?」





え、ごめん。よく意味がわからない。








「だからっ!いっちゃんが………あーもーー!」

なんかよく分からないけど、自爆した。





目の前で沈没しているリリーちゃんの顔は


すっごい真っ赤っかだ。











…………ん?




……………真っ赤っか?


















「落ちちゃいましたね、リリー殿。」


「…………はい?」


「恋に、落ちちゃいましたね。」





いつもの仕返しとばかりににやにやとそう言ってみせると










「………っ、うっさい。ばかっ。おやすみっ!」




とリリーちゃんは逃げていってしまった。









………なに、あのかわいい物体。



あれが、いつもは男勝りなリリーちゃん?







「ギャップ…っ!ギャップやばいでしょ!」









しばらく私がその場で叫んだことは言うまでもない。