「よろしくお願いします。」









朦朧とする意識の中、深く頭を下げる。





お互いに杖を向けて構えた…………




























が、






どちらも動かず、魔法を繰り出すことはなかった。



しかし、相手の様子見をしているわけでもない。








ただ、ふたりは


向かい合って、杖を向けて、立っていた。













どれくらいの時が立っただろうか。


ギャラリーがざわめいていく。











その中には野次や非難も混じっていて



私は足をグッと踏ん張ると





もう一度、聖に杖を構え直した。




それを見た聖も、体制を整える。










「…………っ、ウォーター フール (水よ降れ)」

「リーフ シールド (草木よ防げ)」



「……っ、ファイアー カヴァー (炎よ覆え)」

「ウォーター シールド (水よ防げ)」



「…っ、リーフ ウォール (草木の壁よ立ちはだかれ)」

「ファイアー シールド (炎よ防げ)」





私が、なにをだしても、


聖は、それの属性あったシールドしか繰り出さない。





一見すると馬鹿にしているようにも見えるその戦法は


ただただ、私を焦らせた。










もしかしたら、聖は………






気づいているのかもしれない。









聖を見て


記憶を得て


動揺している私に。