そんなことを思っているうちに




「秋雨くーん、今までなんで来なかったのー。」





少年―秋雨くんの周りに人が集まっていく。





相変わらずクールな彼は聞こえないふりをしているけど………













「ねーねー、聖くーん」


ひとりがきゃっと声を立ててわざとらしく秋雨くんに触れた。




―ドクン













胸奥が、嫌な音をたてる。








「ちょうどよかった。

優菜ちゃん、一緒にサボリに行こう?」











突如、黒羽くんはそういうと、私の手首をつかんでずんずんと歩いていった。


周りがさらにざわめく。








なかには悲鳴のような声も混ざっていて


私は顔をしかめた。








屋上に着いて、掴まれていた左手を、やっと解放されると。



「ねえ、どういうつもりよ。

勘違いされちゃうよ?」










私はそう文句を言った。





「だって。」