今日は月曜日。

大好きな水曜日とはまだ少し離れていた。

いくらお昼に会えても水曜日が特別なのは今も変わらない。

わたしの恋の始まりの場所。


図書室のカウンターで本を読んでいる橘くんが、何よりも好きだったんだ。

水曜日が待ち遠しい。


毎日が水曜日だったらいいのに……。

ふつふつと湧き上がる叶わない願い事。


現実を見始めた瞬間、ずっしりと重くのしかかっていた手の中の存在に気づいた。



「うっ、重っ……」


廊下を歩くたび結んだポニーテールがふわふわと揺れ動くのを感じる。


「ちぇっ、今日は橘くんと一緒に帰ろうと計画を立ててたのに台無しだよ」


元々重い教材がわたしの負の感情を吸い込んで、さらに重みを増したような気がした。



週番だからと福担任に適当な理由をつけられて、明日の授業で使う教材を音楽室へと運ばされている途中。


週番って言葉ずるいや。

ようするに先生のパシリってことでしょ?


先生に声を掛けられなければ今頃橘くんと並んで校門を抜けていたはずなのに。