王子様が橘くんなら、

お姫様は百合ちゃんで、

わたしはただの町娘。


魔法使いなんて現れないし、ガラスの靴だって履けないの。

0時の鐘が響いてもわたしには何も起こらない。


残るのは好きな人を想う儚い恋心。


誰も迎えに来てはくれないし、王子様を連れ出したってそこに見えるのは最悪の結末。


それなら、最初から知りたくなった。

叶わないなら全てを消し去って。


何も知らないあの頃に戻りたい。


そう願っても、わたしはどうしようもなく王子様好きだった。