「悪い、ちょっと出てくる」
誰かから着信があったらしく、伊織さんはポケットからスマホを取り出してお店の外へと出てく。
こういう気配りできる人でよかったな……って思う。
伊織さんが出ていったから、自分の分のナポリタンパスタを食べる手を休めてオレンジジュースを手にする。最近何故か食べ物の好みが変わった。ご飯の炊ける香りとか……以前はあんなに好きだったのに。
ふと見れば、美鈴ちゃんがじっとオレンジジュースを見てる。
(えっと……果汁のジュースはお腹が膨れたりするし虫歯にもなるからダメだっけ。ちょっとなら歯が生えてるし……薄めたお茶か白湯なら飲ませていいか)
にわかに身につけた知識で自信はないけど、ドリンクバーで麦茶をお湯と水で薄める。子ども用のストローを持って差し出せば、素直に吸い付いてくれた。
んぐんぐ、と一生懸命に飲み込む姿は見てるだけで可愛い。コップを持とうとしてるのか、手を差しのべてくる様子がたまりません。
(かわいいなあ……ほんとに、美鈴ちゃんが私と伊織さんの子どもならよかったのにな)
まだ1日と一緒にいないのに、もう既に情が湧いてきてる自覚はあった。 このまま実のお母さんが見つからないなら、お母さんをしてもいいかな……と考えていた時、伊織さんが戻ってきてひと言。
「母親がわかった」
と告げてきた。



