「碧、見てみろ。歩行器だけでこれだけ種類があるのだな。やはり安全第一だが、女の子ならかわいらしいキャラクターがついた方が嬉しいだろう」
「…………」
「ほう、これはベビーサークルにもなるらしい。なかなか面白いものだが、これだけ狭い場所に閉じ込めていいのか? もっと広くないと運動の発達に妨げにならないか?」
「…………」
「碧、これ。スロージューサー。離乳食作りにどうだ? 野菜や果物の栄養が丸ごととれるそうだぞ」
「……はあ」
思わずこぼれ落ちたため息に気付いた伊織さんは、不思議そうに私を見てきた。
「どうした? 疲れたなら休憩するか?」
「いえ、大丈夫。それより伊織さん……本当にこれだけ買うんですか?」
私がちらっと横目で見ると、大型のカート三台分に山積みされたベビー用品があった。2人じゃ運びきれないから、店員さんに手伝ってもらってる。苦笑いする店員さんの視線を感じて、恥ずかしくて顔を伏せた。
「ああ、全部必要だろう? もしも今使わずとも、次には使うかもしれないしな」
「あらあら、次のお子様のお話ですか? 仲がよろしいんですね」
ずいぶんとフレンドリーな店員さんにそんなふうに微笑まれ、よけい恥ずかしくて顔も上げられなかった。



