契約結婚の終わらせかた番外編集






結局夜明けまで離してもらえずに、気付いたら朝でしたといういつものパターンで目覚めましたよ。


どうやら赤ちゃんは夜中に目が覚めなかったらしく、泣き声が聞こえることがなくてホッとした。


翌日、赤ちゃんを連れてベビー用品店に行こうとすると、伊織さんが車を出すと言ってくれた。


「かさばるものが多いだろう。こんなときくらいおれを使え」

「え? でも……伊織さん出張ではなかったんですか?」


今日は確かに日曜日だけど、伊織さんには地方への出張が入ってたはず。結構重要な案件だとか話してた気がするけど。


「代わりに副社長に行かせた。いつもサボってばかりなやつだから、たまには不意打ちもいいだろ」


ニヤリと笑った伊織さんはドキッとするほど魅力的な笑顔で。結婚してから、ずっとずっと彼に惹かれてくばかりだ。何だかズルいなあって思う。


そうやって、家族を第一に考えてくれるなんて。出会った当初の仕事の鬼だった伊織さんからは想像すらできなかった。


それだけ、彼との間に深い繋がりがあるんだなって感じて嬉しくなる。


どうやら赤ちゃんについては葛西さんに調査を依頼したみたいで、今日1日あればなにかわかるだろうということだった。

……というか葛西さんこそ最愛の妻とのラブラブタイムを邪魔をされて気の毒のような。職権乱用ごめんなさい、と内心で謝っておいた。