契約結婚の終わらせかた番外編集




伊織さんの言葉がゆっくりと頭に浸透してゆき、意味を理解し完全に飲み込めた時。 頬に熱が集まるのを感じた。


伊織さんは、赤ちゃんが私と自分の子どもならいいと言った。それはつまり――私との子どもを望んでくれたわけで。


夫婦だから最近になってそれらしい触れ合いの時は避妊はしてないけど、漠然と考えていた望みがはっきりとした形になって。彼が心底私との子どもを欲しがってくれた。その事実に胸が熱くなった。


恥ずかしくて何も言えずに俯く私の顔は、絶対真っ赤になってる。その自覚があるだけに顔を上げられない。


赤ちゃんの飲む量に気をつけながら、また吐き戻さないように哺乳瓶を傾ける。満足したところで2度目のゲップをさせて、ついでにオムツをチェックしてから寝かしつけた。


お腹いっぱいになったからか、ぐずる事なく直ぐに寝入ってくれてひと安心。ホッとした私は育児書を手にしようとして……伊織さんに阻まれた。


「せっかく眠ってしまったなら、さっきの続きをしないか?」


熱っぽい眼差しで見つめられて、顔が燃えそうなくらいに熱い。子どもが欲しい発言の直後なだけに、どうしても伊織さんを意識してしまって。恥ずかしさもひとしお。


「そ、それもそうですけど……明日赤ちゃんの為にいろいろと買わないと。必需品はおばあちゃんが買ってきてくれましたけど、細かなものとか……」


伊織さんをさりげなく避けながら、私は必死に彼を退けようとした。

だって……

伊織さん、めちゃくちゃ色っぽくて鼻血出そうですって!