「え~今日はですね~転校生を紹介します。」

クラス担任のサイトー。おっさんだよ。

いつも出っ歯でニヤニヤしている顔がすこし奇妙だ…。

「毎朝キモイわ~。いい歳して。」

「アハハ。晴菜もいつも言ってるよねっ」

右隣の席の裕樹。彼とは中1の頃から仲良し。

なんとも中世的な男子だ…。言葉遣いも良いし。

だから友達になれたんだと思う。

「斎藤先生いつもより楽しそう。」

「サイトーが楽しんでどうすんだよ。」

アハハとまた笑う裕樹…。



すると…


「ガラッ…」




入ってきた…。


サラッサラな髪。整った眉。きりりと結ばれた唇。


いつもの男子とは少し違うオーラを醸し出していた…。


「ねえ結構イケてない?!!!」


肘でつつく理沙。




サイトーが横でニヤニヤして「え~じゃぁ自己紹介を~お願いしま~す。」




「赤羽結月です。よろしくお願いしまーす。」


以外とチャラッ


「イケメンが来てくれて良かったねぇ~皆。じゃあ席は根岸さんの後ろで~」


イケメンとか言って喜ぶなよおっさん!

てか私の後ろじゃんッ!!

「いいな~晴菜」「ずるい~!!」

女子たちがざわつく。


ヤダな~


赤羽君が歩み寄ってきた。


「よろしく根岸さ~ん」

と言って手を差し出してきた。


女子達の黄色い声が響く…。



男は苦手だからためらいながら手を出すと


「ハハッ 君面白いね~」と言って軽く握ってすぐに手を離した。



冷たかった。










この瞬間がものすごくスローモーションのように感じた…。