「ごめんね。
でも、昨日のお昼休みの君たちの会話が聞こえたから」
「……………」
「大学生は、受ける講義を選べるから、ある程度、自分で時間割が組めて自由な時間が作れる。
サークルやバイトなど、高校までと違い活動範囲も広がる。
もちろん、異性との出会いの場も増える。
…佐伯さんの彼氏は、いま、まさに、そういう環境にあるわけ」
「……………」
「まぁ、今までの経験と、いろいろ見てきた環境から言うと、佐伯さんの彼氏は、今の状態に浮かれていると思う」
「……………」
「…君が感じた違和感はそういうこと。
しばらくすれば、環境にも慣れて、君の彼氏も落ち着くと思うけど。
…まぁ、"君のそばに落ち着く"とは断言は出来ないけどね」
「……………」

「佐伯?
…もしかして、大和先輩と上手くいってないのか?」

1人で話し続ける井上先生を遮るように、杉田が聞いてきた。

「…ん?
そんなことないよ」
私は笑顔を作って杉田に答える。
「そう…なのか?」
それでも心配そうに私を見る杉田。

「大丈夫だから、教室に戻ろう」
私は杉田にそう言うと、
「失礼しました!」
と挨拶をして部屋を出た。