自分が"かわいい"って分かっているみたいで、彼女が付き合う人はイケメンが多い。
大和さんを狙っていたと噂も聞いた。
その大和さんは、平凡な私と付き合い始めたから
「なんであの子なの?信じらんない!」と言われていたらしい。

「俺が、"彼女はいない"って言ったら、渡部さんだっけ? 君はどうするの?」
井上先生は、渡部さんに質問を返した。

そう返されると思わなかったのだろう。
渡部さんは、
「えっ…?あっ、あの。
もし彼女がいらっしゃっらないなら、私が、その…、海斗先生の彼女に、立候補しても、いいですか?」
つっかえながらも、ストレートに告白した。

「ちょっと待って!」
「麗奈ばっかりズルイ」
「私も、先生の彼女に立候補します!」

渡部さんに負けじと、クラスの女子が井上先生に迫っていく。
…なんか、スゴイ。

「あー、ごめんね。
あんなふうに言ったけど、一応、実習中は生徒との恋愛は禁止なんだ。だから、そのあとで良ければ考えるよ」

井上先生は笑顔を見せながら答える。
その笑顔に、また女子から悲鳴が上がる。

「はいはい。
それくらいにしてHRを始めるわよ。
…井上先生も教師を目指しているなら、生徒に対して軽率な態度や発言はやめてくださいね」

担任が注意を促して、やっと教室が静かになった。
それから担任は、連絡事項を伝え始めた。