あなたが運転している時、助手席に座った私はいつも、運転席と助手席の間に、そっと手を差し出してみる。

「何?」

「ん?」

あなたはわざとらしく尋ねたり、ふざけて私の手のひらを軽く叩いたりする。


意地悪だなあ…。

私がどうして欲しいかわかっているくせに。


「ん。」

懲りずに私がまた手を差し出すと、少しの間だけど、あなたは指を絡めて私の手を握る。

決して大きくはない厚みのある少し硬いあなたの手を、私は握り返す。

あなたと手を繋いでいる安心感で、私は思わず口元をゆるめる。