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ボーリング場の駐車場は、建物の入り口の目の前にあった。

狭い敷地の中にほとんど無理矢理建てられたような感じだったから、駐車スペースもそれほど広いものではなかった。

外から見るその建物は、ただの一昔前の古い建造物だった。

おそらくボーリングという遊びが、世間で物凄く流行っていた頃に建てられたのだろう。

でなければ、この狭い敷地の中にボーリング場を建てるなんてことは誰も考えたりしないはずだ。

でも、今となってはその面影すら感じさせないほど古びていた。




5時少し前に駐車場に着いた僕は車を停め、その正面の出入り口から出てくるであろう美貴の姿を車の中で待った。

僕はタバコに火をつけ、ジッと出入り口の自動ドアが開くのを気にしていた。

彼女はもちろん僕の車なんて見たことないはずだからきっと探すだろう。

だから、彼女が出てきたらすぐに僕の方から声を掛けるつもりだった。


5時を少し回って僕が二本目のタバコに火をつけた時、開いた自動ドアから出てくる美貴の姿が見えた。