ポンっと頭に乗った手の温かさに、思わず涙腺が緩む。





泣くな泣くな泣くな…っ





あたしは泣くべきじゃない。






奥歯を噛みしめて、必死に涙をこらえる。






ここで、泣くな。





あたしは…っ、





伝えるべきことを伝えるの。




「…ありが、…とう…っ」






きっと、啓は言葉にできなかった声もちゃんと聞きとってくれたはずだ。





「…う、ん。…こちらこそ、ありがとう。」






ほら、あいつのところに行ってきな。




背中を押されて、数歩進む。







「行ってこい!!夕日。俺、お前には幸せになってほしいんだ!!!」