「どうだか、ま、今日は俺もこれからあっちに用があるし帰るわ」 用があるのに呼び出して悪かったなぁ、とちょっとだけ思った。 ちょっとだけ。 どうせ、ようっていったって対した事ではないと思うし。 「そう。じゃあくれぐれも気をつけてね」 玄関までついていき、靴を履いた海里に声をかけた。 「わかってるって、じゃあな」 右手をひらりとさせ、海里はドアを開け出て行った。